ヘンダワネのタネの物語 (ノベルズ・エクスプレス)

著者 :
  • ポプラ社 (2012年10月6日発売)
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本棚登録 : 61
感想 : 8
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(No.12-91) 児童書です。

内容紹介を、表紙裏から転載します。
『サッカーが得意なクラスの人気者、イラン人のアリと、絵ばかり描いていてヘンな女子といわれる直(なお)。
アリが隠している心の秘密に気がついた直は・・・?

イランのスイカ、ヘンダワネのタネが結んだ直とアリの物語。』

図書館の棚で見つけた明るい色の表紙の本。どうやら夏休みの話らしいと分かりましたが、冬に読むのもいいだろうと借りてきました。初読みの作家さん。

最近の小学校はこんなに国際色豊かになってるのか(地域的なものもあるでしょうが)とびっくりしました。
両親とも外国人、片親が外国人、という子供たちが何人もいるので、たとえ日本語が少々不自由でもくじ引きでPTA役員を決めてしまう。それは大変ですね。
アリは両親ともイラン人です。お父さんは日本語がけっこう出来るようですが、お母さんは会話はまあまあ程度、読み書きは不自由です。直とアリのお母さんはくじで役員に当たってしまい、直のお母さんがいろいろ手助けしているうちに二人のお母さんは仲良くなりました。実は直とアリはクラスで接点が無く、別に親しいわけではありません。

夏休みアリのお母さんのSOSで、アリと直は直の弟も一緒に、直のお母さんの妹・リコ(つまりおばさん)の家に泊めてもらうことになります。
独身で芸術家のリコさんの家で、お互い学校では知らなかった一面を知ることになるのです。

お母さんが大好きなのに、日本語がつたないお母さんを恥じてしまうアリ。日本に溶け込もうとするあまり、イラン語やイランの話を自ら封印してしまうアリが切なくて。
学校から離れた環境で過ごすことで、解き放たれた二人の心にほっとしました。それには直の弟・暖(だん)の存在も大きかったです。直たちは5年生ですが、暖は3年生。イランとかに関係なく、暖は年上のアリにかまってもらえることに舞い上がりはしゃいで、微妙な雰囲気などぶち壊してくれます。

不思議なことがちょっと起こりますが、とっても現実感がある話でした。
児童書でたまに、普通大人はこういう反応はしないというのがありますが、どの大人もいそうな人ばかり。私はそういう児童書が好きなので、とても好感が持てました。

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: 児童書
感想投稿日 : 2012年12月27日
本棚登録日 : 2012年12月27日

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