ほんの一部の人々にしか知られていない奇病『ボタニカル病』。人間に寄生した植物がおこすその病は症例も少なく特効薬もない。精神科医の朝比奈に相談者が紹介されたのは『樹木医』の芙蓉だった。
罹患者それぞれが異なる植物を身体に有し、あるいは接しているものの罹患者たちにマイナスの感情は見受けられないのが一貫しているとは言える。植物との語らいを構えず行っている芙蓉だからこそ、彼らに寄り添い、理由を知ることが出来るのだろう。
植物は優しい。優しいから時に嘘をつく。人間の弱さを、甘えを受け止めて自らの役割を演じてくれる。
ひとにも同じ種類のことが言えるのかもしれない。
ひっそりとその真実を内側に抱えたまま、優しく、そっと。
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- 感想投稿日 : 2021年7月24日
- 読了日 : 2021年7月24日
- 本棚登録日 : 2021年7月24日
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