敗者から見た関ヶ原合戦 (新書y 173)

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  • 洋泉社 (2007年5月1日発売)
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慶長五年(一六〇〇年)九月一五日に天下分け目の関ヶ原の合戦になる。関ヶ原が戦場になった背景は相対立する見方がある。

第一に大垣城に籠る石田三成らを野戦の名手の徳川家康が引きずり出したとする。
第二に石田三成らは前もって関ヶ原を決戦場と定め、野戦築城を進めていた。ここから関ヶ原の合戦は小牧長久手の合戦のような野戦築城による長期戦になる可能性があった。

野戦築城の中心は松尾山であった。ここは松尾山城と呼べるほど要塞化していた。松尾山城に豊臣秀頼と毛利輝元を迎えることで戦局を有利に進める計画を練っていた。野戦築城の工事は着実に進み、三成の野望は高まっていった。

ところが、九月一四日に予期せぬ出来事が起こる。小早川秀秋が勝手に松尾山城に陣取ってしまった。秀秋の行動は三成を驚かせ、野戦築城計画に影を投げかけた。秀秋は何を考えているのか、誰に味方するつもりなのか、三成には不明であった。秀秋は家康と手を結び、裏切りの糸を紡いでいるのではないかと疑われた。

秀秋を牽制するために西軍が関ヶ原に動き、西軍を追って東軍も動いた。東軍は既に秀秋を味方と位置付け、西軍に包囲されつつある秀秋を救援するために動いたとする説もある。

三成にとって小早川秀秋の裏切りや毛利秀元の傍観は開戦前から予想できていた。三成としては合戦を優勢に進めることで勝ち馬に乗ってもらうしかなかった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: エッセイ
感想投稿日 : 2023年9月17日
読了日 : 2023年9月17日
本棚登録日 : 2023年9月17日

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