How Google Works (日本経済新聞出版)

  • 日経BP (2014年10月8日発売)
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エリック・シュミット著、ジョナサン・ローゼンバーグ著、アラン・イーグル著、ラリー・ペイジ序文、土方奈美訳『How Google Works 私たちの働き方とマネジメント』(日本経済新聞出版、2014年)はGoogleの成功体験を明らかにする書籍。Googleが20世紀的な管理主義と真逆の方法で成功したことが分かる。
GoogleはGAFAの一角である。ITエンジニアが関心を持つ書籍であるが、IT以外のビジネスパーソンも読みやすい内容になっている。たとえばJavaについて「飲み物や島ではなく、プログラミング言語のほう」というITエンジニアには言わずもがなの説明をしている(25頁)。
Googleは日本企業の役職者の身分意識とは最初から無縁であった。「グーグルはオフィススペースの広さで『偉さ』を測るような職場ではない」(19頁)。Googleはエンジニア重視であるが、日本の所謂技術者とは異なる。「経営にも詳しく、発想力も豊かだ」(27頁)。新しいタイプの労働者を「スマート・クリエイティブ」と称する(42頁)。これは20世紀的な知識労働者とは異なる。組織や職務構造に束縛されない。
本書は20世紀的な働き方に対して新しさを提示するが、Withコロナのニューノーマル時代には古いところもある。イノベーションを生み出す場としてオフィスを重視している点である(79頁)。今やテレワークででオフィス半減を発表すると株価が上昇する時代である。昭和の対面コミュニケーション至上主義と同じく、楽しいオフィスに固執しているように感じられる。
表面的な顧客の意向を尊重することが顧客志向ではない。「大切なのは顧客の要望に応えることより、顧客が思いつかないような、あるいは解決できないと思っていた問題へのソリューションを提供すること」(132頁)。これはHenry Fordの「もし顧客に彼らの望むものを聞いていたら、彼らは「もっと速い馬が欲しい」と答えていただろう」(If I had asked people what they wanted, they would have said faster horses.)につなる。
オープンであることは価値がある。「誰かが不当な優遇を受けているのではないかという疑念を解消することは成長の追い風となる」(157頁)。これが日本の昭和の村社会と決定的に異なる点である。
本書はGoogleの採用の基準の記述もある。「重大な人格的欠陥を示すものでないかぎり、私たちはネット上のコメントや写真をもとに否定的評価を下すことはない。すでに述べたとおり、グーグルが求めているのは情熱のある人で、情熱がある人はネットでかなり活発に活動する傾向がある」(206頁)。昭和的な日本企業とは大きく異なる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 家計簿
感想投稿日 : 2021年2月1日
読了日 : 2021年2月1日
本棚登録日 : 2021年2月1日

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