死体が教えてくれたこと (14歳の世渡り術)

著者 :
  • 河出書房新社 (2018年9月22日発売)
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感想 : 27
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死から生をかんがえる。

元々「死ぬ」ということに興味が強い私。
10代向けの棚に置いてあったが、勝手に手が伸びた。
読み進めるにつれて、上野先生の経験談にどんどん引き込まれていく。
90歳の著者が語る戦争体験や子ども時代の話は、現在30代の私にとって刺激的なものばかりだ。
監察医という職業も恥ずかしながら初めて知った。
東京大阪名古屋などの都市圏にしか存在しない希少なお医者さんということも。

だーーーっと一気に読んだ。

人にはいろんな死に方がある。
病死、変死、老衰、、いろいろだ。
わたしはどれになるんだろう?

上野先生が診てこられた様々な事件、事故。
読んでいるのも辛い例もあった。
しかし、そういった、なるべく関わりたくないような案件であっても、その人の死に向き合い、事実を正確に把握することの大切さ。それを勉強させてもらった。
この人の世の中で皆が平等に命の尊厳を持ち、生きていくために明らかにするべきことなのだ。

私はすぐ感情移入して泣くことが多いので、次々に現場で遺体やその遺族と関わる仕事なんて、考えられない。

上野先生は生きている人も死んでいる人とも、徹底的に向き合う信念をもった、強い人だなと思った。

人はいつどんな形で命が絶えるか分からない。
当たり前だけど、そうなんだ。

1歳の息子がいつか大きくなったら、この本をおすすめしたいな。
私はもっと早くこの本と出会えたら人生変わっていたかなと思う。いや、30代の今だから沁みるのか?
とにかく、読んでみて本当に良かった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2024年4月4日
読了日 : 2024年4月4日
本棚登録日 : 2024年4月4日

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