「聖☆おにいさん」という漫画があります……なんて、今更説明の必要性も無いかもしれませんが、仏陀とキリストが現代日本でバカンスを過ごしていたら、そんな「あり得ない設定」を元に魅力的なギャグ漫画に仕立て上げた傑作です。
ただ、そんな世界観が受容されるのは、世界広しといえども日本くらいでは無いか、そんなことを思います。特に「信仰」の問題は、神道の信仰を持っているワシが言うのもなんですが難しいもので、神であろうがモノであろうが社会的価値であろうが、信仰の対象を笑い飛ばされるのは結構、噴飯ものなのが人の心情でしょう。
相容れない価値観のすり合わせ。それは、現実社会においても、物語の世界においても、常に課題であり、永遠のテーマでした。
と、前置きが長くなりましたが、本作はその「価値観のすり合わせ」を、実に深刻に、実に軽妙に、実に楽しく描いています。重くなりがちなテーマですし、実際重く捉えている登場人物もいますが、それの橋渡しをしているのが主要人物では数少ない種族である「現代日本人(女子高生)」であるというのが、冒頭の「聖☆おにいさん」の話しでは無いですが、実に日本らしいな、と思ってしまうのです。
日本人が日本語で書いた日本の価値観で書かれた物語。それであるが故かもしれませんが、ここで提示される「すり合わせ」は、本来の重さを乗り越えて「できそうじゃね?」と思わせる。日本人のもつ吸収力、受容性、対応力の高さを思い知る、そんな作品になりつつあります。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2014年3月27日
- 読了日 : 2014年3月15日
- 本棚登録日 : 2014年3月15日
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