交感神経と副交感神経という単語は聞いたことがある方は多いと思いますが、この本は副交感神経の下位システムとして迷走神経がある、としたうえで、迷走神経と人間の心理的/社会的行動を結びつけている本になります。
本のタイトルは「複数の(ポリ)迷走神経経路(ヴェーガル)」から来ています。迷走神経の働きにより、人が恐怖を感じた時に体が動かなくなる、などが引き起こされるとされています。
トラウマや自閉症などについて、迷走神経が影響していることが説明されており、乗り越え方についても一石を投じています。問題が起きた時に上手く行動できなくなることも多いですが、迷走回路による生物として自然な行動かもしれません。
仕事などでも上手く動けない場合に、本人の努力不足などに焦点が当たることも多いです。しかし、本当は迷走神経による体の正しい反応で動けなくなるかもしれません。本書は迷走神経の観点から「安全」であることの重要性も説いています。本書を読むことで、これまで経験則に理解していた心理的行動が神経系の話と結びつき、新しい知識とともに強い納得感を得られました。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2020年8月15日
- 読了日 : 2020年8月15日
- 本棚登録日 : 2020年8月14日
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