面白くてよくわかる!ギリシア神話

著者 :
  • アスペクト (2010年8月21日発売)
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感想 : 8
4

ギリシア神話がはじめての人、
僕のような人でも、わかりやすく
ギリシア神話を理解できるような一冊。

イラストが全見開きページの左側にあって、
なかなかいい具合。

とりあえず、ギリシア神話に対する率直な感想は、
神々の王になったゼウスの浮気ぶりが
ひどすぎる(笑)。

どんだけ不倫しとるんだあんたは、っていう。

で、正妻のヘラはその浮気相手の女性やら女神やらに
嫉妬の炎を燃やして、苛酷な目に遭わせたりしている。

皮肉なことに、というか、正妻ヘラとの間の子どもは
あんまり出来がよくなくて、
ゼウスの浮気相手との子どものほうが神々として
名を残している。

元はギリシア神話は紀元前15世紀(!)から紀元前
8世紀ごろにかけて口承で伝わったものが、
ホメロス、ヘシオドスらによって叙事詩のかたちで
これも口承ではあるが、まとまったかたちになったのだという。

つまるところ、その長きにわたる間の人と人の関係、
集団、あるいは自然、というところから生まれた「想像の物語」の
数々の中で、口承の審判(伝える価値のあるものが残る)を経て
まとまってきたものがギリシア神話ということになるのだろうか。

多くの人々の「語りのキャッチボール」として、
ギリシア神話はきっと、その時代の人々をワクワクさせたり、
ロマンチックな気分にさせたりしていたのだろう、と思うと、
人間が物語を創ったり、伝承したりする精神は、当たり前ではあるが、
何も変わってはいないということがわかり、感慨深い。

狩猟採集社会は平等で、小集団で暮らしていたものが、
農耕社会になると、労働が組織的になり、権力構造が生まれた、とよく
言われたりするが、
紀元前15世紀とか、その頃にはギリシアや周辺地域でも農耕は
一般化していただろうから、社会に権力構造があったことには疑いないだろう。
王がいて、きっと浮気ばかりしていたに違いない(笑)。

神話のキャラやその能力は想像の産物かもしれないが、そもそも人の創造行為が
組み合わせ的なものである以上、神話の原型が実社会のどこかにあったと
考えるのが妥当であろう。

神話を知ることは、人間の歴史、あるいは人間とはどういうものかを知ることに
非常に繋がってくると思った次第である。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 歴史(世界史/文明史/人類史)
感想投稿日 : 2012年10月3日
読了日 : 2012年9月30日
本棚登録日 : 2012年9月30日

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