コミュニティデザインの源流 イギリス篇

著者 :
  • 太田出版 (2016年4月23日発売)
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感想 : 10
5

面白かった。わかりやすかった。楽しかった。
つまり、3拍子揃った、本だった。
ラスキンの生誕 200周年という今年。
改めて、ラスキン、モリスとその関連の人
を見直す時期なのかもしれない。
コミュニティデザインの源流の「関係図」が優れている。
オーエンや、エンゲルス、マルクスの関係性も理解しやすくなる。
エンゲルスやマルクスは、学生時代によく読んだので、
その時の「科学的社会主義」という言葉が好きだった。
オーエンの空想的社会主義の歴史的位置付けが、
見直すことができたのは、成果といえる。

ラスキンが活躍した時期は、産業革命が起こり
その中で、ラスキンは、労働 および 仕事の意味を問いかけた。
ゴチック建築の彫刻が、自由さがあることで、
仕事が 自立した自由な働きであることの意味を問う。
ゴチックという言葉が、荒々しいという意味とは知りませんでした。
それは、現在のITとAIの情報革命と同じような状況が生まれ、
AIでなくなる仕事でない仕事を選ぶという発想は、
明らかに 本質をずらしていると言わざるを得ない。
時代背景の共通性が、感じられるように 踏み込んでいるのがいい。

「手と頭をつなげること」という基本が重要なんだね。
現場、実践、思考、そして、そのバランスが必要である。
女性が、すぐに自己紹介し、互いに褒め合い、仲良くなる技術に長けている。
というのは、納得できるなぁ。
カーライルは、女性を「力によるのでなく弱さによって男性を征服することができる人たち」であり
「男性に従うことによって、男性を支配させる人たち」

ラスキンはいう
「男性の力は積極的、前進的、防御的なものだ。」
「女性は、優しい指図と整理と決断に向いている。
女性は、物事の本質、あるべき姿、求められていることを知っている」

社会革命家ではなく、あえて社会改良家という言葉を使っているのが
意味があるかもしれない。本来ならば、社会改良家になるべきである。
貧困を救済する場合も、施しを伴わないことを考えると、
違った世界が生まれてくるのであり、オクタビアヒルがそれを実践した。

自分たちで自律的に考え、そのかだに立ち向かう。
その責任を負わせることで、より成果をあげていくことができる。
仕事を進める上では、任せるという姿勢が必要だ。
自立した個人と個人が繋がって、平等と協同による仕事。
その中で、楽しさを生み出す力をつけていく。
美しいものを作り、楽しいことをすることが、仕事だ。

何か、読みながら、仕事するのが楽しくなってきた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 創造都市/農村
感想投稿日 : 2019年4月19日
読了日 : 2019年4月19日
本棚登録日 : 2019年4月19日

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