マックの原田泳幸氏は過去数冊読んだが、これまでのものは基本的にマクドナルドについての著作である。本書の価値は、これまでほとんど著者からは語られることの無かった、前職のボス、スティーブ・ジョブスやアップルでのエピソードが書かれていることである。(第7章 スティーブ・ジョブズの教え) また、アップルからマクドナルドへの転身の舞台裏についても、そしてその後の改革と抵抗勢力との戦いにつても、生々しく書かれており興味深い。
原田氏は、ジョブズの復帰前のアメリオ時代にアップルに転身していたようだ。就任前は、日本ではキャノン販売や丸紅、ダイワボウ情報システム、加賀電子などが一次卸であり、2次卸は3000店舗もあったという。これでは、ブランドや価格などのコントロールは出来ないはずであり、iMac の投入の際に、販売代理店契約をゼロから始めるという手法で絞込をしたという。時には、代理店の社長が米国本社に直接文句を言いに行ったりしたらしいが、ジョブズとしっかり握っていた原田にとっては筋書き通りだったという。
パソコンの筐体表面がつや消しになった、サンドブラストという技術は大阪の町工場のものであるという。当然、生産能力が足りない中、20時間操業をお願いしにいったら、「なんで、お前に20時間やれといわれなきゃいけないんだ」と言われたという。書中にはそれだけであったが、結果的に、出来ているということは、何とかしたのであろう。
原田氏は、他著作でも垣間見えるが、基本的に現場主義である。そして、巻末のユニクロの柳井氏との対談では、自らを、理詰めではなく思いつきで経営していると断言している。全く同じ事を、ユニクロの柳井氏が、先日読んだ「成功は1日で捨て去れ」に書いてあった事を思い出した。
- 感想投稿日 : 2018年10月8日
- 読了日 : 2013年8月25日
- 本棚登録日 : 2018年10月8日
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