今日の都市の概念を多面的な分析と考察によって論述した一冊。ルフェーヴルが第一人者たるところの農村社会史の方法を都市に当てはめ、それまでのマルクス主義的単線的唯物史観を乗り越えようとする試み。
ここでは、今日工業化と都市化が都市計画という押し付けられた=押し付ける画一的イデオロギーによって推し進められ、都市的なるものが破壊され、人間生活の目的が生産と消費に帰着するような空虚なものになるということが指摘される。そのうえで、労働者から個別具体的に生まれる作品や統合の動きによってこれを乗り越えて行くべきだとする。これは広義のマルクス主義のことを言っているのはもちろんである。
共産主義にも無人化とかあるのでは……という突っ込みは無粋。社会史的アプローチが一定の評価をえる今日において都市の概念を獲得する為に、必読の一冊といえよう。
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- 感想投稿日 : 2012年2月12日
- 読了日 : 2012年2月12日
- 本棚登録日 : 2011年12月7日
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