第二次世界大戦直後のシチリアの寒村を舞台に、映画技師の初老男性と彼を慕う幼い少年の友情と、人生の機微を描いた名作。
サルヴァトーレ少年(通称:トト)は、村で唯一の娯楽である映画に夢中で、初老のアルフレードが映写技師を勤める映画館「シネマパラダイス」に入り浸っていた。
大戦で父親を亡くして母子家庭で暮らすトトと、子供のいないアルフレードの間には、親子の情にも近い友情が芽生え、アルフレードはトトに映画技師の仕事を教えていく。
そして、ある事件をきっかけとして、トトはアルフレードに代わって映画技師の仕事をするようにまでなる。
しかし、トトが思春期を迎え、裕福な家庭の美少女エレナとの実らぬ恋に苦しむ最中に徴兵された時、自分には叶わなかった広い世界をトトに与えてやりたいと願ったアルフレードがとった行動は…。
時は流れ、ローマで映画監督として大成した初老のサルヴァトーレが、アルフレード死去の連絡を受けて30年ぶりに故郷に帰った時、初めて明らかになる、手に入らなかった恋の真実やその後のこと、そのきっかけを作ったアルフレードの行動と強い愛情、そして、サルヴァトーレ自身の抱える未練と払拭などが、時代の波の中で閉館し取り壊される「ニューシネマパラダイス」の姿や、幼かったトトとの約束を守ってアルフレードが贈ったプレゼントがもたらす郷愁と相まって、強い印象を残します。
アルフレードがとった行動には、映画ファンの間にも賛否両論あるようですが、個人的には、サルヴァトーレを取り巻いていた状況と将来性を考えると、あれでよかったんじゃないかなあ、と思います。
人生って、どれほど願っても頑張っても、手に入るものと入らないものがあるし、時々の選択が正しかったかどうかは結局誰にもわからないし、時には後悔することもあるのけど、それでも、進んでいくもんなんだよなあ、と、最後は感傷的な気持ちになりながら見終えた作品でした。
- 感想投稿日 : 2017年7月9日
- 読了日 : 2017年7月9日
- 本棚登録日 : 2017年7月9日
みんなの感想をみる