生命知としての場の論理: 柳生新陰流に見る共創の理 (中公新書 1333)

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  • 中央公論新社 (1996年11月25日発売)
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著者自身の提唱する「場の生命論」の立場から、即興劇などにおける「リアルタイムな創出知」の謎を解明することをめざした本です。

著者はこの問題を考察するにあたって、「自己中心的自己」と「場所中心的自己」を区別し、とりわけ後者の観点から自己のありかたを見なおすことによってフィード・フォワード的な知の創発が可能になるという思想を語っています。さらに、柳生新陰流における「見の目」と「観の目」の区別にも着目し、相手を働かせてその働きにあわせて勝つ「活人剣」の思想を高く評価し、そこに含まれる知恵を思想として取り出そうと努めています。

近年は内田樹も武道についての思想的なエッセイを数多く執筆していますが、そうした関心のある読者にはおもしろく読めるのではないかと思います。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 哲学・思想
感想投稿日 : 2019年11月10日
読了日 : -
本棚登録日 : 2019年11月10日

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