第3巻では、債権総論と担保物権法がとりあげられています。
本巻では、学説の変遷についての説明が随所に見られますが、個々の論点にかんする学説史に立ち入って検討をおこなうことが眼目ではなく、あくまで「民法の体系的理解」という本シリーズの大きな目標にそくして、学説史が参照されています。とくに、ボワソナード法典から現行の民法典が生まれ、そこにドイツ流の法学理論にもとづく解釈が積みかさねられていったのち、その見なおしがおこなわれるという大きな枠組みが、しばしば提示されています。この枠組みは、民法の解釈において、法典および反例と学説とのあるべき関係にかんする著者自身の見かたをもとに、民法の理論的・体系的な見とおしを示すものとして論じられています。
もっとも、こうした構成をとっている以上ある程度しかたのないことなのですが、この分野について多少学習したことのある読者でないと、具体的な事例についての説明が省略されている本書の議論は抽象的に感じてしまうかもしれません。タイトルは「基本民法」であり、比較的ヴォリュームのすくない基本書のように見えますが、この点については注意が必要でしょう。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
法律
- 感想投稿日 : 2021年10月9日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2021年10月9日
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