編者である吉沢伝三郎の古稀記念論文集として企画された本で、吉沢をはじめ11人の論者が「行為」というテーマについて哲学的観点から考察をおこなっています。
ドイツ哲学における「行為」の問題を論じた論文が多く、カントとドイツ観念論における行為の問題をあつかった第一部、ニーチェの行為論をあつかった第二部、そしてハイデガーやシュッツらの行為論にかんする論文などを収録している第三部から成っています。
ウィリアム・オッカムの研究者である清水哲郎の論文「共同行為論」と、カントの研究者である坂部恵の論文「〈ふるまい〉と〈ふり〉」は、論者自身の行為論が展開されています。清水は、医療の現場における医者と患者とのかかわりあいを「共同行為」としてとらえなおすという意図にもとづいて、主体が他者とともに一つの行為に参与することについて考察をおこなっています。また坂部は、行為を意味する「ふるまい」ということばに「ふり」すなわちミメーシスが含まれているということに注目し、アリストテレスの『詩学』におけるミメーシス論へと立ち返りつつ、独自の行為論を展開しています。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
哲学・思想
- 感想投稿日 : 2020年3月21日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2020年3月21日
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