幸運を引きよせるスピリチュアル・ブック: “不思議な力”を味方にする8つのステップ (王様文庫 D 8-1)

著者 :
  • 三笠書房 (2001年3月30日発売)
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感想 : 63
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私たち一人ひとりは、魂を向上させるためにこの世界に生まれてきたという立場から、日常のさまざまな悩みに対してどのように向きあっていけばよいのかを説いた本です。

私自身は、かつて一世を風靡した著者を中心とする「スピリチュアル・ブーム」を、再帰的近代という時代に対する人びとの対応として理解しています。その意味では、『スピリチュアルにハマる人、ハマらない人』(幻冬舎新書)でスピリチュアル批判を展開した香山リカの立場も、また、香山と激しい論争をおこなった勝間和代を中心とする「カツマー」ブームも、同じ時代の諸相とみなしています。

本書の中で著者は、自分自身の魂に真摯に問いかけた結果、けっして恥じることがないのであれば、不倫ですらも認めるとしています。他方で、単に責任を取りたくないというだけで不倫の関係を続けることに対しては、魂を汚すことになると批判します。こうした著者の考えからスピリチュアリズムにかかわる言説をすべて取り除けてしまえば、従来の倫理規範を人びとがもはや信じることができなくなった時代に、「魂」をよりどころにして実践的判断を下していくという生き方が提唱されていると言えるように思います。社会のさまざまな問題を「魂」の問題に還元していくという意味では、再帰的近代における「心理主義」の一つの形として、本書を読み解くこともできるのではないでしょうか。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 趣味・生活・人生
感想投稿日 : 2017年4月23日
読了日 : -
本棚登録日 : 2017年4月23日

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