文を構成する基本的な要素として単語があります。本書は、こうした私たちが日常的に使っている単語をじっくりと観察し、それらが作り出される仕組みや、解釈される仕組みを分かりやすく解説するものです。普段何気なく使っている単語をよくよく観察してみると、そこには不思議なことがたくさん潜んでいます。例えば、名詞と名詞をくっつけて作った「ミツバチ」と「ハチミツ」を比べてみましょう。どちらの単語も「ハチ(蜂)」と「ミツ(蜜)」という名詞が使われています。違うのは二つの順番だけですが、その解釈は全く違っています。すぐわかるように「ミツバチ」は蜂の一種を意味しており、「ハチミツ」は食べ物を問題にしています。こうした事例から名詞と名詞をつなげて作った単語では右側に来る名詞が単語全体の中心的な意味として解釈されると言えます。他にも「通学 バス」と「バス通学」、「包み紙」と「紙包み」などでも同じようなことが言えそうです。本書ではこのように私たちが実際に使っている単語を観察することで、一定の規則性を導き出し、さらに一歩進んで、なぜそうした規則が存在するのかということまで掘り下げて考えていきます。言語学の初心者でもすらすら読むことができ、単語の奥深さを味わうことができる一冊と言えます。
(ラーニング・アドバイザー/人社 IKARASHI)
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- 感想投稿日 : 2015年8月17日
- 読了日 : 2015年8月17日
- 本棚登録日 : 2015年8月17日
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