増補 スペースシャトルの落日 (ちくま文庫 ま 38-1)

著者 :
  • 筑摩書房 (2010年3月12日発売)
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感想 : 15
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スペースシャトル。いや、当時は「宇宙バス」って表現もあった。年間50回打ち上げるってのは夢があった。
まあ、夢を現実にする技術的裏付けが足りなかったわけだけど。
「ソ連の衛星を捕獲したい」という国防総省の要求
「地元の選挙区にも仕事を廻して欲しい」という議員筋からの要求
これらによってねじ曲げられた結果、本質的な欠陥を抱えたまま宇宙に飛び立ったスペースシャトルは、そして確率論の手により、二度の大事故に…

とはいえ、外部燃料タンクとの接続装置や着陸脚を耐熱パネル側につけない設計案は無かったのだろうか?と言う疑問は尽きない。
そして、液酸/液水エンジンという誤った技術の流行の問題点も指摘しているが、それは始めに「スペースシャトルみたいなのがうちも欲しい」という気持ちを優先しすぎた過ちであり、そこまでNASAの責任にするのは訳がわからない。各国の判断ミスだし、判断ミスに基づくアリアン5の様な成果もある。アリアン5という巨大ロケットが出来たことによって、大型商用衛星の市場が生まれた訳であり、一概に鬼子扱いするのは無理がある。
そして、筋の悪さを指摘されていたスペースシャトルのレガシーを最大限転用することありきから始まったコンステレーション計画も、結局はオバマ政権によって(順当に?)中止されることとなった。
技術開発って奴は一度手を抜くと取り返すのがとてつもなく大変なんだなと。
☆3.5ってとこなんだけど、辛辣すぎるタッチと解説の人選(堀江貴文は無いわ)で☆0.5を引いて☆3つとする

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 文庫
感想投稿日 : 2018年10月14日
読了日 : 2017年3月23日
本棚登録日 : 2018年10月14日

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