自閉症は津軽弁を話さない 自閉スペクトラム症のことばの謎を読み解く (角川ソフィア文庫)

著者 :
  • KADOKAWA (2020年9月24日発売)
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本棚登録 : 117
感想 : 7

「ASDは方言を話さない」という現場の療育者の声を、研究者が丁寧に実際の声を集め、考察したもの。
既存の知識から安易に結論を導かず、何度も繰り返しデータを集め、可能性を考えていく過程が印象深い。

ASDは相手の意図を読み取ってこちらの意図を伝えるということが苦手なので、会話からではなく、繰り返しと決まり言葉の多いメディアから、言語を習得しやすい。

ここから、会話というのは自分に注意を向けて相手に意図を伝え、相手に意図変更を促し、その結果をモニターするという複雑な行程があるという話に発展して、とても興味深かった。

この話がASDの人や療育者にすぐ役立つのかと言えば、そうでもないのだけど、人の会話には意識されずに共有される前提があって、それがASDには共有できないからいろいろ難しい、という面が少し見えた気がした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ノンフィクション
感想投稿日 : 2022年12月6日
読了日 : 2022年12月6日
本棚登録日 : 2021年1月20日

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