悦楽の園

著者 :
  • ジャイブ (2007年10月1日発売)
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感想 : 30
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相原真琴、13歳。
母親は、15歳で彼女を生んで、死んだ。父親は、どこかに行ってしまった。
祖母と曹祖母と3人で暮らしている。行き場のなくなった子どもたちも同居していて、2人のおばも週の半分はここにいる。

学校の前の席の南一と知り合う。
ある日、彼が教科書に描いた絵を見せる。奇怪な生き物が蠢く絵だった。
「素敵ね」と、彼女がいったのが、全ての始まりだった。彼は、生まれて初めて彼を受け入れてくれる人間に出会った。しかし、彼女がそのことに気づくまで、たくさんの時間がかかった。

学校はおかしな所だった。普通という概念が作り出され、みんなが、そこからはみ出さないように自分を作っていた。
12歳のとき、真琴は後ろの席の男子に、しつこく攻められていた。無視していたが、ついに担任に話した。担任は、彼は真琴が好きなんだ、といった。
真琴は、学校へ行かなくなった。祖母は、休めば、といい、曹祖母は「逃げてきたのは情けない」という。そして、真琴は普通の家庭は、本人が嫌だといっても、殺されそうになっても、学校へ行け、というのだということを知る。

いけめんの染谷くんが真琴と南に興味を持ち、家にも出入りを始めて、真琴は南を受け入れられない学校を変えていこうと思うのだが…。

真琴という変わった環境で育った女の子が、もっと特殊なところで育った南に出会い、自分の生き方や、生きがたい子どもたちの環境を考え、変えていこうと行動する。

普通とは何か、という問いかけが、全く意識されない中、展開されていくのが凄い。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2015年2月3日
読了日 : 2015年2月3日
本棚登録日 : 2015年2月3日

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