ポップカルチャー的な軽いタイトルとは裏腹なバリバリの学術書。アニメファンではない私のような読者は、最後まで読み進める気力を保ち続けるのが難しいかもしれない。それでも日本の「女性活躍」政策にみられるネオリベ・フェミニズムの問題点がより深く理解できておもしろかった。また自分はなぜフェイスブックの利用を止めてしまったのか ー 「絶え間ないアイデンティティ管理維持という労働を通して自分を企業家化する」ことに疲弊してしまった ー が言語化されていて腑に落ちた。
コロナ禍でより深く大きく広がった社会の痛みを経験した私たちは、「自助」や「自己責任」を基調とするコロナ前の(現在の)新自由主義経済に無邪気には戻れない。エッセンシャルワーカー(その多くが非正規雇用、女性、低賃金)がいかに社会にとって大切な存在なのかが広く認知された今、連帯の必要性もより切実に理解されたのではないだろうか(それを具体的な社会的変革につなげていけるかどうかは今の時点ではまだ未知数だとしても)。
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- 感想投稿日 : 2021年3月23日
- 読了日 : 2021年4月9日
- 本棚登録日 : 2021年3月22日
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