谷川浩司の戦いの絶対感覚 (最強将棋塾)

著者 :
  • 河出書房新社 (2003年4月1日発売)
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感想 : 2
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 将棋のプロ棋士である谷川浩司先生が自らの対局から50局を選び、ポイントとなる局面における読み、そして自身の大局観を解説している本。
 谷川先生と言えば、伝家の宝刀の「角換わり腰掛け銀」と、深い読みに裏打ちされた切れ味鋭い終盤の「光速の寄せ」を武器に一時代を築いた、天才揃いのプロ棋士の中でもトップ中のトップである。対羽生戦で谷川先生が指した77桂馬や57桂馬(将棋ファンなら、符号を聞いただけであぁあれねとなる方も多いだろう)は歴史に残る超絶妙手であると言えよう。あの藤井二冠も、尊敬する先輩プロ棋士として彼の名を挙げていたりする。
 序盤編・中盤編・終盤編とあるが、圧巻は終盤編で、いったい何手先まで読んでいるんだという感じ。流石は「光速の寄せ」。永世七冠で有名な羽生先生との対局はゴールデンカードと呼ばれたが、本書にも谷川-羽生戦が多く収められている。50局のうち殆どは谷川先生の勝局だが(当然と言えば当然である)、対羽生戦に限っては敗局も収められており、谷川先生にとって羽生先生というのは最強のライバルとして特別な存在だったのだな、と。
 かなり高度な内容なので、高段者はともかく僕のような低段者や級位者が本書を読み実戦に役立てられるかというと正直微妙な気がするが、(僕のような)谷川先生ファンにとっては読んでいるだけで「先生すげー」となってそれだけで楽しめる。巻末には50局の棋譜も載っているので棋譜並べにも良いと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 7 芸術・美術
感想投稿日 : 2021年3月13日
読了日 : 2021年3月12日
本棚登録日 : 2021年2月21日

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