基本統計学 第4版

著者 :
  • 有斐閣 (2015年3月30日発売)
4.33
  • (3)
  • (2)
  • (1)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 129
感想 : 9

 各章の冒頭でその章で扱う内容の概略を述べ、その後具体的な理論や計算に入っていく構成。章末の演習問題が豊富で、手を動かしつつ理解を深められると思う(と言いつつ、僕は解いてないのだが…)。数学的に高度な部分は若干省かれており、モヤモヤ。「コレコレの統計量はホニャホニャ分布に従う」と事もなげに書いてあり、オイッとなった。筆者がこの本を書いた目的はそこにはないということだろう。統計学の「基本」だしね。それはさておき、非常に分かりやすい本であることは間違いないです。
 1箇所気になったのは、検定を行った結果、有意差が認められなかったときに帰無仮説を採用してよいと読める記述があったこと。該当の文章を引くと「すなわち、仮説が正しいとするとそのような標本が観察される可能性は非常に小さいという場合、仮説と標本観察結果は不適合であり、したがって仮説は正しいとはいえないと判断(棄却)される。そしてその確率が小さくないときには仮説と標本観察結果とは不適合とはいえず、したがって仮説は承認される(あるいは少なくとも否認できないとされる)のである。(p249) 」仮説は本当に「承認」して良いのか?仮説が正しいとも誤りとも判断できない、としか言えなかったのだと思うのだが。まだこの辺の理解が曖昧だ。
 もう一つ、これはこの本がどうとか言うのではなく、どこかに書いておかないと忘れると思ってここに書くのだが、区間推定における信頼係数というのは、「その区間の中に確率95%で母平均が含まれている」という意味ではなく、「区間推定を100回行うと大体95回はその区間に母平均が含まれる」という意味である。前者は母平均が確率変数だが、後者は区間が確率変数という違い(多分)。母数を確率変数として扱うのはベイズ統計学の考え方ですね(と、勉強したばかりの事をひけらかしてみる)。

序説
1 平均値と分散
2 度数分布
3 回帰と相関の分析
4 確率
5 確率変数と確率分布
6 主な確率分布
7 標本分布
8 推定
9 検定
10 回帰の推測統計理論

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 4 自然科学
感想投稿日 : 2020年8月28日
読了日 : 2020年8月27日
本棚登録日 : 2020年8月9日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする