ボーイズラブというよりも、ホームドラマな味わいの一品。ヤクザモノスキーからすると、かなりなんちゃって感はあるけれど、そもそもそういう趣旨じゃないので目をつむります。
無認可の幼稚園で見習い教諭として働くひかりは、ある日園に立ち退きを迫りにやってきたヤクザの若社長の瑚條と出会う。ちょっと変わり者で、立ち退き話に反発した威勢のいいひかりをすっかり気に入った様子。精悍な風貌なうえに人当たりもソフトで、ひかりの身の上話にも親身に耳を傾ける。その上自分と付き合ってくれるなら、この立ち退き話を水に流すとまで言い出す始末。
すっかり困惑するも無碍にもできず進退極まったところ、瑚條が園の子供を庇って怪我を負い、その後遺症で四歳児まで記憶退行してしまう。
このまま組には連れ帰れないという組員たちに押し切られる形で、体は大人、心は四歳児の瑚條のお泊まり保育生活が始まる。
どこか泰然として自信ありげだった瑚條とは打って変わって、ナイーブな四歳児の瑚條が、組長である父親との長年のわだかまりを解消していくくだりは、ややチープだけど思わずホロリ、ニヤリとさせられる。こういうトーン嫌いじゃないよ。
欲を言えば、大人の瑚條がこんな紳士的で如才ないのはすごく好みなのだが、もっともっと得体の知れない感じだったら、四歳児の時とのギャップがさらに煽られて萌え倍増だったのにな。
あと初っぱなひかりを気に入った理由も弱いような…。
四歳児の瑚條が親子関係を取り戻して行く姿に自分を投影して、改めて自分の孤独を見つめ直すひかり。
瑚條が見せる優しさを手放したくないと気持ちを揺らす。
色々都合が良すぎるだろ感はなきにしもあらずだけど、最終的にはいい感じに瑚條の記憶も戻って、ひとりで頑張ろうとしてなかなか他人に甘えられないひかりをあの手この手で甘やかし倒す生活がスタートする。
極道とはいいつつも、あくまでもほんわかムードに終始。
- 感想投稿日 : 2012年12月24日
- 読了日 : 2012年12月24日
- 本棚登録日 : 2012年12月24日
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