自分も親の介護が必要になるのかもなぁと思っていた時に、目に入った本。この本は、物書きの50代男性筆者とその母親の介護の記録であると同時に、特に男性が読んでおくべき、心の準備の為にも必要な本だと思った。
特に、介護のストレスはじわじわとキツくなっていく事で、自身の管理もままならなくなるほどになってしまう恐れがあると言う事、介護のシステムは国として準備されており、使った方がいい事。ヘルパーさんたちに助けて貰うのを躊躇しない事など。親が歳をとるという子供であれば避けて通ることのない現実に対して、自助だけで済ますのでは無く、公助、共助を使って良いんだよという事を覚えておく。
この本では母親が認知症になってしまった事で通販を注文した事を忘れてしまう… そして父親をガンで無くす前に体験した代替療法に意味なしと警鐘を鳴らしている。そして、良かれと思って代替療法のたしになるような物を送ってくる善意の人たちにむけて「同情するなら金をくれ」とw 介護には金がかかる現実、経験してみないと分からないだけに役にたつ。
「予防医学のパラドックス」なんかも、なるほどと思えるし、社会の分断にも警鐘を鳴らしており読み応えがあった。
筆者は、松浦晋也氏、科学系のノンフィクション・ライターという事で、この本の中で書かれる筆者の意見の中に科学的見地も含まれていると思われる。
この本は40代以上の男性が読んでおくべき本の一つだと思う。時代が進めば、もう少し便利な世の中になっているのか、逆なのか、良くなっていると信じて読んで欲しい。また、いくら世の中が前に進んでも、全部を丸投げ出来るものでは決して無いという事も肝に銘じておきたい。
- 感想投稿日 : 2023年1月22日
- 読了日 : 2023年1月22日
- 本棚登録日 : 2023年1月18日
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