なんだろう、上手くレビューを書く自信がない。
どうやったらこの作品の良さを伝えられるかな。
もどかしい。
でもすごく良かった。面白かった。
読んでいる途中で顔がにやけてしまう感じ。
で、時にはホロリと。
だって、設定からしてもうバカバカしい。
不倫旅行中に突然死んだ妻。残された幼い子供。
これだけだとなんだか重くて暗くて思ってしまうけれど、妻が最後に残したものは何と毛蟹。
旅先から送られてきたもの。言わば妻の形見だ。
それをどうしても処分することも食することも出来ない主人公。
さて、これをどうするのか。
芥川賞作家と言うこともあり純文学寄りなのか。
綴られるのは非常に個人的な心情。
設定だけだったら恨みつらみ満載になりそうだけれど、これが全くの正反対。
妻への女々しいほどの未練があくまで軽いタッチで描かれる。
ユーモアと哀愁と切なさと。
この感じ、長島有に似てなくもないかな。
主人公や不倫相手、友人たち、そして息子。
なんだかね、みんな愛すべき人達でね。
不倫相手にも同情を禁じ得ないと言うか。
形見分けの毛蟹を食べさせる場面なんてそりゃ面白くて。
妻の手作りの冷凍総菜を少しずつ息子と食べる場面も良かったなぁ。
伊藤たかみってずいぶん前に一冊読んだきり。
どんな印象だったか全く覚えていない。
前からこんなにおかしみのある文章を書く人だったのだろうか。
もっと読んでおけばよかったな。
それに伊藤さん、再婚してご自身もお父さんになったんですね。
そうじゃなかったら書けないよね、きっと。
息子とのやりとりなんてリアルだもん。
表題作ともう一編入っています。
こちらもなかなか良かったです。
- 感想投稿日 : 2014年8月18日
- 読了日 : 2014年8月17日
- 本棚登録日 : 2014年8月18日
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