七十四秒の旋律と孤独 (創元日本SF叢書)

著者 :
  • 東京創元社 (2020年12月21日発売)
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本棚登録 : 216
感想 : 22
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ロボットSFと言えば、アシモフの「われはロボット」が一番に思いつく。しかし、本作品はロボットSFというよりもAI-SF(人口知性SF)と言った方がしっくりくる。そのため、時と共に個体差が出て来るのは当然で、またそれが面白くて、全体の流れを作っていく。
「七十四秒の旋律と孤独」は、舞台が宇宙で活劇要素もあり、航宙面でも興味深い点があり、あっという間に読み終わってしまったというのが率直な感想。さすが賞を貰うだけのことはある。
「マ・フ クロニクル」連作の「一万年後の午後」は、既に「GENESIS 創元日本SFアンソロジー 第1巻」の表題にも選ばれる作品。こちらの作品にも「七十四」と同じインパクトを受けたし、2年前に読んだ時の素晴らしさは今でもなお心に残っていた。衝撃のラストでも私にとっては十分なのだが、その後編が、しかも4作品もあるというのは興奮以外の何物でもない。じっくりじっくり読みましたよ。多分、今回で完結だと思うが、今回とは別の星に降り立ったマ・フ(Machine Human)の世界も見てみたい気もする。人間の弱さが見え隠れして、私、人間としてはちょっといろんな面で抵抗したい気もするが、それが人間の人間たる所以。まあ、設定を含めて後編に着手するかは作者にお任せしよう。
作者はどうやらシルクハットがお好きな様だが、初めて見た時にはこの人は危ない人では?とちょっと引いた。まあ、天才だからしょうがないかな。猫もお好きということで、本作品の中にも猫が重要な場面でちょくちょく出て来るのも印象的。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: SF小説
感想投稿日 : 2021年2月2日
読了日 : 2021年2月2日
本棚登録日 : 2021年2月2日

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