1999年出版。
北朝鮮の清津出身の著者は幼い頃から歌がうまく、歌手になることを夢見ていた。幼稚園の頃から歌のコンクールで地方の代表に選ばれるほどの実力だったというが、彼女は親戚が中国に住んでいたり、日本と関係があったりすることで「成分」が悪いとみなされ、「ライバル」であった全恵英との競争では常に負けてしまう。この全恵英は後に日本公演もおこなった普天堡電子楽団の有名歌手になる。「成分」のせいで苦しみ、一時は歌をやめようと考える北朝鮮の現実が生々しく描かれる。
著者は成分のせいで「5課」選抜の最後の試験でも不合格となる(これは結果的には彼女に取っても良かったのだろうが)。
その後、スカウトを通じて映画俳優への道を進んだ著者は、大学生時代に幾つかの映画やドラマ、演劇に出演。大学を卒業して本格的に職業俳優になろうかというところで、家族と共に脱北することになる。それが1998年だったそうだ。
北朝鮮映画界の内部を知れる情報がほとんどない中、俳優の卵でもあった著者は映画や俳優に関する比較的多くの情報を提供してくれている。
ちなみに現在、著者はトロット歌手として活躍しているようである。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
学術:北朝鮮
- 感想投稿日 : 2023年10月5日
- 読了日 : 2023年10月5日
- 本棚登録日 : 2023年10月5日
みんなの感想をみる