「星守る犬」は見果てぬ夢、追い続けても得られないことを示す言葉だと言う。この話には、二人の中年男が登場する。
ひょっとしたことから、家庭崩壊、そして孤独死へと至る切ない運命、一方でその死への道程を遡り、身元を知ろうとする男。
そのいずれにも、傍らに寄り添う犬たちがいた。
「おとうさん」は、どこにでもいそうな平凡な男。愛犬と最後の旅に出ると、やがてキャンプ場のはずれを、終の住家として車上生活を始める。
犬と星空を見上げながら、命尽きるが、犬だけはその後も一年以上生き続ける。
切ない話の背景をいつも飾るのは、明るく黄色いヒマワリの花だ。その明るさが、余計悲しい運命を浮かび上がらせる。
そして生きる者は誰もみな、「星守る犬」だ。作者もあなたも、そして私自身も。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
犬小説
- 感想投稿日 : 2010年1月20日
- 読了日 : 2010年1月20日
- 本棚登録日 : 2010年1月20日
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