「自由」と「安定」のジレンマ
規制緩和を進めて自由な競争を促そうという「自由」な思想と、みんな一緒にがんばって平和に暮らそうという「安定」の思想。この二つの政治的思想を使って、1970年代以降の近現代を歴史として位置づけようという目論みの本書。
そんなことが目的だから、著者の主義主張は強くなく、なるべく状況分析的に書いていてとても勉強になります。その経緯を含めて今の日本の問題がよく理解できます。
個人的な感想といえば、今の日本の豊かさはなんだかんだ言って団塊の世代が作ってくれたものなんだけど、一方で団塊の世代は自分たちの世代が得するように動くので、先をみて変えなければならない色々な事を先延ばしにしてきたように思います。これは世代自身の思惑だけじゃなくて、団塊世代のボリュームの大きさに惹かれた当時の政治家も彼らが得する政策を行ったという面もあるかと思います、今も同じで票が欲しいから。なので、彼らの世代が残っている限り日本の制度は変わらないかなと思いました。後10年ぐらい我慢しないといけないっぽいです。
多数の意見が、多数だからという理由のみであっても選ばれるというのは民主主義の問題点なのかもしれません。
300ページ弱のそれほど分厚くない本なんですけど、これを一冊読んでいれば、そこらへんのおっさんぐらいなら対等に話ができると思います。というか近現代を歴史として整理しているおっさんなんていないと思うので、非常に冷静におっさんの話が聞けるようになると思います。そして「ほぉー」と思われると思います。
- 感想投稿日 : 2013年9月7日
- 読了日 : 2013年9月7日
- 本棚登録日 : 2013年9月7日
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