「現在は、過去にベストの選択を積み重ね出たベストの結果」
題名の通り、技術的な方法によるイヤな気持ちの消し方が書かれています。イヤな気持ちのほうが強く心に残る理由とか、イヤな気持ちに囚われることのデメリットとか、現代にはイヤな気持ちはもう必要ないこととか、つい読んでしまうようなフックがちりばめられています。
薄い色合いと繊細な線画のメンタルヘルス系の本とは違い、一貫して脳の機能について科学的に書いているのでクサクサした心が安らぐということはないですが、説得力があります。
ですが、何でこんなうさん臭さがプンプンする本を出すのかというのはやはり不思議です。きっと、今抱えている苦しみとか悩みから逃れたくて、宗教やスピリチュアリズムにすがる人が増えないようにという意図があるような気がします。死んでからの来世を待たなくても、現世でイヤな気持ちは消せるんですよ、と言っているのだと思います。
身分が固定され不条理があからさまに存在していた時代では、非現実的なものでなければ現世に理由付けができなかったけど、そこから人は進歩して、その頃には変えられなかったことが今では変えられるようになってきました。非現実的なものにすがらなくても自らの意志と行動で変えられる社会へ、今変えられる社会へ、その方向に少なくとも進んではいます。そんな人類の進歩を彼は全肯定している、なんて考えると心が熱くなるのです。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
人になる為の本
- 感想投稿日 : 2014年4月3日
- 読了日 : 2014年4月3日
- 本棚登録日 : 2014年4月3日
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