影響力の武器 実践編―「イエス!」を引き出す50の秘訣

  • 誠信書房 (2009年6月9日発売)
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50の実例と理論に基づく解説で、理論を証明だてた実験などの論考部分は少ないけれど、この一冊で十分に学べるのではないか。分かりやすく、考えさせられる。

・たとえば、あなたが月例会議の欠席者が多いことに頭を悩ませている管理職だとしましょう。欠席者が多いという点に注目を集めるような真似をしてはいけません。あなたがそのことを残念に思っている事を示し、同時に、実際には大多数の人が出席している事を指摘して、欠席者は少数者だという事実を強調してください。
(マイナスの社会的証明はマイナスの行為を助長することがある)

・手書きの付箋付き(「調査票の記入をお願いします」というメッセージ)の調査票の回答率は69%、何も書かれていない付箋は43%、付箋無しは34%だった。付箋ではなく、調査票に直接メッセージを書いた場合、48%。付箋に送り主のイニシャルを入れたり、「ありがとうございます」などもっと親しみをこめると効果が上がった。しかも、短期間により詳しく丁寧な回答をしてくれる率が高かった。
依頼する際に手書きの一言を記した付箋を活用すれば、得をするのはスリーエム社ばかりではないということです。

・宿泊客がタオルを再利用してくれた場合、ホテルは節約されたエネルギーの一定割合を環境保護団体に寄付しますとメッセージを書いても、ただのタオル再利用お願いのメッセージと効果に差はなかった。しかし、ホテルが先に寄付を行い、そのあとで宿泊客に協力をお願いする(つまり順序を入れかえる)と最初のメッセージより45%高い効果があった。二つのメッセージは、ホテルの行動はほとんど同じだが、本質はまったく異なる。最初の物はインセンティブに訴え(こうしてくれたらこうします)、後者は返報性に訴えている(こうしました、ところでこうしてくれませんか?)。

・しかし、ここで彼(ジェームズ・ワトソン)は、成功理由としてもう一つ驚くようなことを付け加えました。とらえにくいDNAのコードを解読できた一番の理由は、この問題を追求していた科学者のなかで彼らがそれほど優秀ではなかったからだ、というのです。
…続くインタビューでワトソンが述べたところでは、当時この問題に取り組んでいた科学者で最も優秀だったのは、パリ在住のイギリス人、ロザリンド・フランクリンでした。「ロザリンドはあまりに優秀だったので、めったに人にアドバイスを求めなかった。いちばん賢いということは、厄介なことなんだ。」

・優れた判断によって悲劇的な結末を避けられた実例を扱ったトレーニングと比べて、ミスが起きた事例に基づくトレーニングは、参加した消防士の判断力がはるかに向上することが分かりました。

・研究結果にしたがうなら、購入費用の増加という短所を挙げてから、それと関係ある長所について述べ、ほかの特徴には触れないでおくのが得策です。「一見、わが社の新製品は20%も割高に見えますが、ずっと長持ちしてメンテナンス費用がかからないことをお考え頂ければ、そのぶんを補って余りあります」と言う方が、「我が社の新製品は割高ですが、速くて場所を取りません」と言うよりも説得力があるのです。
言い換えると、欠点に触れたあとは必ずそれに関係ある長所について述べて中和させるのが大事、ということです。酸っぱいレモンしか手に入らない運命なら、リンゴジュースなど欲しがらず、おいしいレモネードを作りましょう。

・オペレータ:「お気を悪くさせてしまい、申し訳ありません」
女性:(大声になって)「私は気を悪くなんてしていませんよ。怒っているんです。」
オペレータ:「はい、ご不快に思われているのは承知しております」
女性:(金切り声で)「不快?不快ですって?私は不快じゃなくて怒ってるんです!」

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 仕事 ☆4,5
感想投稿日 : 2013年6月16日
読了日 : 2013年6月16日
本棚登録日 : 2013年5月20日

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