観光大国スイスの誕生: 「辺境」から「崇高なる美の国」へ (平凡社新書 (692))

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  • 平凡社 (2013年7月17日発売)
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 お金のクリーニングはもうかるから病み付きになって止められないようだ。他の国から預金者の情報を開示するように言われて渋々認めても、完全に廃止とはいかない。それは何かというと「マネーロンダリング」という黒いお金を真っ白にして表社会に出すというもの。

 スイスの重要な産業の1つに金融があり、高級時計産業、そして今回の本で取り上げられている観光業だ。

 よく考えてみるといつからスイスは観光で有名になったのか。そんな疑問を手軽に説いてくれるのが今回の本だ。文庫本だけにコンパクトにまとまっている。

 今でこそ、スイスの山や自然に惹かれて世界中から人がやってくるようになったが、ほんの200年前まではヨーロッパでは自然は恐ろしく目の保養どころか目の毒扱いされていたというから驚きだ。現代の常識がいつの世にも通じるとは限らない良い例だ。

 時計産業に関して、スイスが発展していったのは、フランスにいた新教徒ユグノーの存在があった。宗教改革で迫害されて、ジュネーブに逃れてきたとある。何が幸いするか分からないものだ。
 
 結構、知らないスイスの姿が浮き彫りになってフムフムと思った。普段あまり読むことのないスイス関連の本だけに珍しいのでつい借りて読んだ。本はいろいろな知的出会いを与えてくれるありがたい存在だなとしみじみと思った。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2013年8月29日
読了日 : -
本棚登録日 : 2013年8月29日

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