ウォーレスの人魚

著者 :
  • KADOKAWA (1997年9月1日発売)
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本棚登録 : 180
感想 : 25
4

進化論を駆使した新たなる人魚伝説。マリア1号の発見を契機に揺れ動く人間たち。ミッシング・リンクの謎を追い、舞台はフロリダ、香港を経てアラスカの極海へ―。圧倒的なストーリー・テリングで人間と人魚の交感を描いた、岩井俊二、待望の書き下ろし長編1000枚。
(BOOKデータベースより)

***

童話の〈人魚姫〉的なお話ではなく、進化論にまで踏み込んだ〈人魚〉の話です。
『かつてヒトはホモ・サピエンス(人間)とホモ・アクアリウス(人魚)に分かれ、それぞれ陸と海で暮らしている。』この説によって進化論におけるミッシング・リンクの謎が解かれるかもしれない として、研究者たちは捕獲された人魚・マリア1号と人魚の子孫であろう海原密のことを調べ始める。
一方密は研究者たちに翻弄されつつ、自分の出生の秘密を知っていく…。

…というお話です。
私は専門的なことはわかりませんが、進化論についての学術的な説明はとてもわかりやすく、この本を読み終えた今なら人魚の実在を示唆されても驚かない気がします(笑)
あともちろん小説としても楽しめました。

私は今は“海大好き!”ってわけではないのですが、この本を読んで昔の“泳ぐの大好き!”という気持ちを思い出せました。
途中少々気持ち悪い描写や若干ホラーテイストな部分もあり、それらが本当に苦手な人はダメかも知れませんが、人魚に少しでも興味がある人には面白い本だと思います。
ぜひこの本を読んで、生物の進化の多様さにおける可能性に心躍らせてみてください。

備考:文庫あり

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ★あ行の作家
感想投稿日 : 2011年2月16日
読了日 : 2011年2月15日
本棚登録日 : 2011年2月15日

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