シュティフターは私にとっては、読むことが快楽というよりも、その小説が存在することを思い浮かべることが快楽になるような作家なのかもしれない。ずっと面白いと思って読んでいるわけではないのだけれど、ふとした時に小説内の文章の美しさや細やかな視線に目を奪われてしまう。
「荒野の村」を読みながら、ホーソーンの「牧師の黒のベール」をなぜか思い出していた。目には見えないけれど人の内側から出てくる得体のしれないものについて書いてあると感じられた。
「ブリギッタ」はシュティフター自身の別の長編『晩夏』を思わせる雰囲気がある。平凡な人物もシュティフターの小説の中では叙事詩の英雄のようである。
解説によるとシュティフターはかなり不器用な人生を送ったようだ。なんとなくシンパシーを感じてしまう。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
海外文学(独・小説)
- 感想投稿日 : 2013年6月1日
- 読了日 : 2013年6月1日
- 本棚登録日 : 2013年6月1日
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