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和医大OPAC→http://opac.wakayama-med.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=20911
訃報に接して繙いてみたところ、ずっと難しいと思っていたエーコの思想が、完全に理解できるはずはないけれど、とても刺激的だな、自分もそう思うな、という部分を発見できて良かったです。
『開かれた作品』や『物語における読者』について書かれた部分は、本好きとしてはかなり興味深い。「開かれた作品の自覚が顕在化するのは、十九世紀後半の象徴主義において」であるとして、エーコがマラルメの次の言葉を引いていたのは、なるほど…と感じました。
「詩の楽しみは、少しずつ推察していく幸福から成る。すなわち、事物を暗示すること(……)そこにこそ夢がある」
たしか上田敏『海潮音』を読んだとき、マラルメが象徴詩について語った言葉が美しくて印象に残っていたのです。「暗示は即ちこれ幻想に非ずや。這般幽玄の運用を象徴と名づく」(上田敏『海潮音』より)
読者が物語を多様に読みといていくこと、読者の自由な参加を呼びかける「開かれたテクスト」という考えは、今では当たり前のものになっているのでしょうか?
たぶんエーコの著書そのものはとても難しいだろうと思うのですが、<現代思想の冒険者たち>シリーズは、噛み砕いて解説してくれているので有難いです。
(スタッフN)
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カテゴリ:
大学生の読書
- 感想投稿日 : 2016年2月23日
- 本棚登録日 : 2016年2月23日
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