高名な心臓専門医が殺される。
捜査にあたるデッカー。事件を聞いて動揺するリナ。医師の息子と、リナは知り合いだった。
フェイ・ケラーマンにとって、リナは理想の女性なのだろう。
だからこそ、リナは夫の親友であったブラムのことで揺らぐ。カソリックの神父になっているブラムもまた、リナの存在ゆえに揺れる。
事件を追うデッカーは、その揺らぎを傍観しているしかない。
揺らぐけれど、その揺らぎを自分で止められる女性。そして、自分で止まることをじっと待っていてくれる夫。
理想すぎて、デッカーが気の毒になってくる。
事件そのものは、さほどミステリアスではない。
地道な捜査で、答えはゆっくりとほぐれていく。けれど、リナとブラムのことが明らかになるにつれて、物語は別のベクトルを示していく。
フェイは、リナをどこに導こうとしてるのだろう。
物語は、振り子が揺れを止めるように終結するけれど、むしろリナの心の揺れはこれからまた始まるように感じる。
聖女になるのか、それともファムファタールになるのか、それともそのはざまで揺れ続ける姿を描くつもりなのかな…。
読書状況:読み終わった
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翻訳作者名 カ~コ
- 感想投稿日 : 2010年6月24日
- 読了日 : 2010年6月24日
- 本棚登録日 : 2009年7月24日
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