〈わたし〉はどこにあるのか: ガザニガ脳科学講義

  • 紀伊國屋書店 (2014年8月28日発売)
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脳は、配線された無数の専用回路の集まりであり、無意識下で無数の並列分散処理を行っている。また、「意識」は、並列分散処理の結果を統合しているインタープリター・モジュールであり、総合的な単一のプロセスによって生成されるものではない。
では、何故「私」は主体性を持った自己であるとありありと認識しているのであろうか?著者は、複数の脳の関わりについて言及する。複数の脳が関わるとにより、社会的な相互作用が発生する。他者の情動や行動をそれぞれが理解するなど。この社会的な相互作用の中に私たちがいると著者は指摘している。
私たちは意思決定装置であると同時に、これらの相互作用が脳を制約するという二層の構造を持っている。この構造が、「確かに感じる」というありありとした意識であり、責任ある動作主たる我々であると結論する。脳は物理的な機械処理をしているに過ぎないという主張から一線を画す著者の慧眼に感服。

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感想投稿日 : 2022年11月27日
読了日 : 2022年8月20日
本棚登録日 : 2020年8月18日

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