17歳のラリー (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA (2020年10月23日発売)
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本棚登録 : 122
感想 : 12
5

さわやかな青春ものが読みたくて、たまたま本屋さんで手に取った1冊。
競技は違ってもずっと運動部でやってきたからこそ、共感できる部分が沢山あって、胸が苦しくなった。

私は、日々乃の話が1番共感したし、高校生の頃にこの本に出会って、エースとしての考え方をもっと深く考えたかったと思った。でも、高校生の時読んでも理解出来なかったのかなとも思う。高校生の時は、日々乃の気持ちに共感はできても、エースとして、背中に乗ってるものまではきっとわからなかった。
だけど、今なら少しわかるから、きっと高校生の頃の自分は、少しでもこの背中に乗ったものたちを背負って戦ってきて、それを成し遂げたと思いたい。弱くて1回戦負けだったけど、自分もやれた、色々悩みながら、進んできたんだって今の自分の自信にしたいと思えた。

最後まで、川木目線の話がないのもいいなと思った。周りが思ってた川木と、話したりプレーしてく中で、少しずつ変化していく川木。でもほんとに川木が考えていたことは、わからないからこそ、小説の中に入り込めたというか、自分も同じように部活をやってて、川木の周りの1人として読めた。川木以外は、それぞれの目線の話があって、同じ会話でも、実は考えてることが逆で、でもそれがお互いにいい方に影響を与えてて、最終的にみんな前を向いていた。

今の自分は、この小説に出てくる高3生以上に「夢を見る時間」は終わりなのかもしれないけど、狭くなってしまっている選択肢の中でもちゃんと自分が納得する様に、少しでも高校生の頃夢に見てたキラキラした大人になるように頑張りたいと思えた。

色々と将来について悩んでるこのタイミングでこの小説に出会えてよかった。この小説を読んで、過ぎ去ってしまった高校時代を懐かしむだけじゃなくて、自分が進むための1歩にできてよかった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2021年10月10日
読了日 : 2021年10月10日
本棚登録日 : 2021年9月21日

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