人類史のなかの定住革命 (講談社学術文庫)

著者 :
  • 講談社 (2007年3月9日発売)
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感想 : 19
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「人類史のなかの定住革命」読。

人類が何百万年も遊動生活していた理由の一つとして、グループ内での不和や緊張関係の解消の意味もあったという説は、なるほどと思った。
そして定住が始まって以来、現代の人類の緊張関係は解消される兆しすらないというのも、そのとおりだと思った。

定住が始まった理由として、気候変動などを上げているが、そのへんは頭に入らなかった。

最後の方で「安全保障の言語」 「仕事をする言語」というものを持ち出して、
「安全保障の言語」は天気の話や、近況報告、今度呑みに行こうなどの社交辞令でこれはどの民族も一緒で、猿が無駄に長時間毛づくろいしたりするのと同じことで、これを拒否することは、人間関係において緊張を持続させてしまう。

「仕事をする言語」は現代なら会社での今月の売上が下がったとか、家庭での子供の学校の成績の話などとしている。
これは昔、狩りのときのチームワークのための言葉が発達したものだろうという。

現代日本社会ではこの「仕事をする言語」が溢れかえっていて、最後に金属バット殺人事件の話を持ち出して、事件が起きた家庭では「仕事をする言語」しか使われず、常に緊張を強いられたのではないかと言う。

少し強引な気もするけど、数百万年続いた遊動生活と、現代日本の核家族の仕事に追われる生活は確かに違う。
数百万年続いた遊動生活が人類の本来の姿で、1万年前に始まった定住革命はいまだに続いているというのは、ああそうだなと思った。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 文化人類学
感想投稿日 : 2019年12月4日
読了日 : 2019年12月3日
本棚登録日 : 2019年12月4日

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