新潮文庫からブルガーコフの新訳。「運命の卵」のほうは岩波文庫で読んでいたけど「犬の心臓」が読みたかったので。二作どちらも科学者(?)が発見した特殊な技術により、生物が変貌をとげ人間をパニックに陥れるという共通点があり、良い組み合わせ。
とりあえず初読の「犬の心臓」について。死んだばかりの人間の脳下垂体を犬に移植する実験のせいで、どんどん人間化しちゃう犬。言葉を喋れたり二足歩行するようになるのは悪いことじゃないけれど、いかんせんどうやら、移植元の人間の人格のほうに問題アリだったようで、おバカでも素直で可愛げのあったワンちゃんが、手術した博士とその助手に「身の毛がよだつような人間のクズ」「まったく信じられないようなクズ」と、さんざんクズよばわりされるようになってしまう(苦笑)
序盤は犬目線での語りだったので、ユーモラスで可愛かったのだけど、中盤人間になってからは周囲の人から見たそのクズっぷりばかり強調されてて可哀想。本人(犬)はどう感じてたのかな。第三者である読者の目からは、周囲の人間たちもそれぞれ醜悪なのだけれど。終盤はアルジャーノンよろしく、もとの犬の知性に戻っていくのだけれど、やっぱり犬のままのほうが幸せっぽい。
当時のソ連の歴史的背景をかなり皮肉っているようだけど、単純にSFファンタジーとして読んでも十分面白い。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
★ロシア・東欧 他
- 感想投稿日 : 2015年12月2日
- 読了日 : 2015年12月1日
- 本棚登録日 : 2015年11月30日
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コメント 2件
マヤ@文学淑女さんのコメント
2017/10/24
yamaitsuさんのコメント
2017/10/26