SUNSHINE CLEANING
2009年 アメリカ
監督:クリスティン・ジェフズ
出演:エイミ-・アダムス/エミリー・ブラント/アラン・アーキン
色々とがけっぷちな姉妹が、事故や事件現場の清掃業を始めて奮闘する話…というのがザックリしたあらすじですが、単純に逆境にめげずに頑張る人の姿を見て元気を出しましょう系のポジティブ映画かと思っていると、意外と登場人物の心理描写がリアルで痛々しかったり、ラストも諸手をあげてのハッピーエンドではなかったりします。でもとりあえずなんしか元気はもらえる感じの、良い映画でした。
高校時代の元カレといまだに不倫中のシングルマザーの姉のほうが、なんとも見ていて笑えない状況で、常に「私は強い、私はパワフル、私は人生の勝者」と自分に自己暗示をかけるかのように呟いているんですが、実際には高校時代はチアリーダーのスターでハンサムなボーイフレンドがいて皆の憧れの的だったのに、現在はしがないメイドのアルバイト、不倫相手の妻は高校時代の友人で、二人めの子供を妊娠中。子供は情緒不安定な問題児で、何度も学校を退学になっている。そんな自分を彼女自身は明らかに「負け組」だと自覚しているんだけど認めたくなくて足掻いている感じ。
妹のほうは見た目も性格もパンキッシュでキレやすく、フリーターだけどすぐクビになるのでほぼ無職。実は二人の母親は女優だったこともある美女だけれど、二人が幼い頃に自殺、その第一発見者が彼女らだったというトラウマがあり、おそらくは妹のほうが母親の面影を引きずって今だ立ち直れずにいて、その影響か情に流されやすい一面がある。そんな二人がいがみあったり力を合わせたりしつつ、事業を成功させていく経過はちょっとしたサクセスストーリー的痛快さがあるんですが、実はそれで終わらないところがくわせもの。
終盤、母親の映画を偶然テレビで見た姉妹が電話ごし無言で涙を流すシーンと、姉が無線機で天国の母親に話し掛けるシーンは泣けました。何もかも上手くいくわけじゃないことも含めてそれでも人生は続いていくし頑張るしかない、ポジティブすぎない配分が逆に良かったかなと思います。
(2009.12.05)
- 感想投稿日 : 2014年12月9日
- 読了日 : 2009年12月5日
- 本棚登録日 : 2014年12月9日
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