OH BOY
2012年 ドイツ 85分
監督:ヤン・オーレ・ゲルスター
出演:トム・シリング/フリデリーケ・ケンプター/マルク・ホーゼマン
http://www.cetera.co.jp/coffee/
ガールフレンド(カタリーナ・シュトラー)の部屋で朝をむかえた青年ニコ(トム・シリング)は、彼女がコーヒーをすすめてくれるのを断り、夜も忙しいからとそっけなく断って、憮然とする彼女を残して部屋を出る。自宅に戻り郵便物を確認すると、車の免許の更新日であることに気づき、コーヒーを飲む時間もなく慌てて出かける。飲酒運転の前科があるニコは免許を更新してもらえず、ガッカリしながらカフェに入ると、妙に専門的なメニューをウエイトレスに並べ立てられ辟易、ようやく会計しようとするとコーヒー1杯にしては高く、ポケットの小銭は足りない。ホームレスのような扱いを受けたニコはコーヒーを飲めないまま。お金をおろそうとATMに行くと、その脇で居眠りしているホームレスがおり、ニコはさっきの小銭を彼のコップに入れ、自分はお金をおろそうとするがなぜかカードは使えないまま吸い込まれてしまう。仕方なくホームレスにあげた小銭をこっそり取り戻そうとするが、背後にいた女性にめっちゃ軽蔑した顔で見られて諦め、友達のマッツェ(マルク・ホーゼマン)と合流するが…。
ドイツのゆるーいモノクロ映画。邦題の「冒険」はっちょっとミスリードだけど、随所随所でニコはコーヒーを飲もうとするも、その都度、コーヒーマシンが壊れてるとか、ちょうどポットが空っぽだとか、同行者に酒にしようぜと言われたりとか、とにかくコーヒーを飲みたいのに飲めない。要するに「ニコ・フィッシャー君のついていない1日」のお話。まるで序盤で邪険にしたガールフレンド(ショートカットの美人!)に「1日コーヒーを飲めない呪い」でもかけられたみたいだ。
基本的には、ニコがどこかへ出かけるたびに、ちょっと変な人が次々出てきてニコに絡む。ニコはいつもコーヒーを飲めず、めちゃめちゃ酷い目ではないけどちょっと残念な目にあいつつ、ベルリンの街を移動していく。ドイツだけあって、マッツェの友人俳優が撮影しているのはナチス将校がユダヤ人女性と恋に落ちる話だったり、当時を知るお爺さんがその思い出を語って聞かせたり、というエピソードが出てくる。
いろいろあって、悪夢のような一夜が明けて、ようやくニコはコーヒーにありつけるのだけど、いかにもほろ苦そうだ。画面のこちら側で自分は悠々とコーヒーを飲みながら見ていたのがちょっと申し訳なくなる。でもやっぱりコーヒーを飲みながら見るのがちょうど良い映画。
- 感想投稿日 : 2021年4月30日
- 読了日 : 2021年4月30日
- 本棚登録日 : 2021年4月30日
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