ここもと人種差別を冗長するかのような世間の動きが喧しいが、ヘルプが描く1960年代初頭のアメリカ南部地区の人種差別は全くの別世界だ。これがほんの40~50年前に存在していたという事実が凄まじい。
凄まじい世界観が本作を含めた著作やその他の活動で、ここまで「ようやく」払拭されてきたのだろうか。いや知らないだけで、人種差別そのものはまだまだ残っているような気もする。あるいは改めて注目、深まっているような気もする。
主だった職が家政婦しかないような黒人女性達と、生活環境全般が黒白に分割されている世界、また分離が当然として疑問を抱かず、人間としての尊厳を損なう価値観がはびこる環境、一方で、環境の変化から裕福ではない白人が南部にも増加したり、「よい関係性」も含めて執筆すべきと考え、それが受け入れ始められた時代性、あるいは女性が著作を書いていくことが受け入れられる世界を丁寧にじっくり書き上げている。
最後の部分が、結局どうなったのかかなり気になる。そこは著作としてのテクニックだろうか?
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- 感想投稿日 : 2017年1月1日
- 読了日 : 2016年12月25日
- 本棚登録日 : 2016年12月25日
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