きみ江さん: ハンセン病を生きて

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  • 偕成社 (2015年2月5日発売)
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21歳でハンセン病と分かって、国立療養所多磨全生園に入所した山内きみ江さんの伝記。
きみ江さんは、1934年静岡県の農家の三女としては生まれる。
小学校に入学した翌年太平洋戦争が始まる。体は弱いのに負けん気だけは人一番だったきみ江さんの小学校生活。小学校卒業6年生のとき、終戦。 神経がおかされて知覚障害をおこしていて、色々な事が出来ない。医者にかかっても、神経痛だとかリウマチだとか診断されてしまう。
21歳のお正月、焼いた餅が下唇にはりついた。普通は熱いととびあがるとこだが、きみ江さんは全く感じない。兄嫁に連れて行ってもらって、らい病の専門医に見てもらう。そのでハンセン病診断されて、多磨全生園の入所を決める。
きみ江さんは、入所していた山内定(さだむ)さんと結婚する。

私は、中学校の学校図書館に勤務していた時に、ハンセン病療養所にいた方とその付き添いの弁護士さんの生徒向けの講演を、聞いた事がある。その方は結婚されて息子さんが医者になって医者と結婚しようとした時、相手のご両親が反対されたと話していた記憶がある。
ハンセン病で入所している方は結婚は可能でも、子どもは作れないとあった。中学校で聞いた私の記憶は間違いだったのだろうか。

きみ江さんの力強い生き方に驚き、兄嫁の誠実さに自分だったらできるだろうかと問うた。「恐れ」と差別はリンクしている事も改めて確認した。

コロナ禍で、「正しく恐れる」と良く言われるが、自分に置き換えると難しい。リスクを回避するつもりで、私も差別してしまうのではないか。自分に問うていきたい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 児童
感想投稿日 : 2021年2月9日
読了日 : 2021年2月9日
本棚登録日 : 2021年2月9日

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