中国経済「1100兆円破綻」の衝撃 (講談社+α新書)

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  • 講談社 (2015年10月21日発売)
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最近はネットで本を買うことが多くなりましたが、たまに本屋さんを覗いて新刊本のタイトルを眺めていると「破綻」という言葉は、欧州(ドイツ以外)、中国、韓国、ロシア、資源国について多く、アメリカは安泰というのが目につきます。

日本については、両者とも見れますが、このようなドギツイタイトルをつけて興味を惹こうとしているのでしょう。

私の場合は、その場で判断を出さなければならない仕事をしているわkではないので、読んだ内容を5年間位覚えておいて(記録しておいて)後で検証することができます。そうやって、追いかける人とそうでない人を見分けていますが、この本の著者である、近藤氏の本は初めて読みました。

最新の中国情報が盛り込まれて、それを基に中国の将来を予測しています。五年後まで覚えていて、どうなったかを振り返るのが楽しみな本でした。

以下は気になったポイントです。

・中国株の保有時価総額の実に82%が「股民」、株取引を実際にしているのは休眠口座を除外すると、1.7億人。外国からの投資は厳しく制限している、外国からの投資は2%以下。7割以上を外国の機関投資家が占めている東京市場と大きく異なる(p18)

・2014年夏頃から、習政権はレバレッジを後押しするようになった。株式口座を開設して2年、過去1年以内に株取引を行っていれば可能(p23)

・中国の都市部の会社員は、「五険一金」と言われる社会保険体系に入る必要あり、養老(年金)保険、医療保険、失業保険、工傷(傷害)保険、生育(出産子育て)保険、および、一金の「住宅積立金」、社員の年棒の28%となる(p44)

・いまでは深圳市場は民営企業が中心だが、上海市場は国有企業が中心で、株式の一部を市場に出している(p48)

・唯一の例外である官僚のみが、、6月15日の、第六次習暴落の前に売り抜けていた(p51)

・中国の各種債務の合計は3000兆円(2014末)のうち最も深刻なのは、480兆円の地方政府の債務だろう(p56)

・上海総合指数が再び3000を割ったときが、分水嶺となるだろう(p59)

・個人の収入全体に占める灰色収入の割合は、高所得層は62%、中所得層は5%、低所得層はゼロ(p75)
・中国の経済統計で信用できるのは、電力消費量・鉄道貨物輸送量・銀行融資額、である(p79)

・李克強は、安徽省の農民出身で、艱難辛苦の末に自力で北京大学法学部に入学して博士号までとった秀才、しかし現在は権限を剥奪されて手も足も出ない(p92)

・中国では、基幹産業のすべてを、1100社あまりの国有企業が独占していており、この1100社で中国の富の6割強を握っている。これらの負債額が、GDPの2倍以上に膨れ上がった(p94)

・国民一人当たり年間平均5000ドルを超えると、工場労働者の賃金アップ、原材料費の高騰によって、結果的には、経済発展モデルを変える必要がある。2011年に中国は5428ドルとなった(p107)

・社会主義の核心的価値観の標語、富強・民主・文明・和諧・自由・平等・公正・法治・愛国・敬業・誠信・友善、の24文字(p110)

・いまの中国には3つの層の国民がいる、約3000万人の富裕層、5-6億人の中間所得者層、7-8億人の下層庶民(p117)

・2013年の統計によれば、外国為替市場における取引高は、43.5%米ドル、16.7%ユーロ、英ポンド5.9%、日本円11.5%、人民元は9位の1.1%(p132)

・人民元が国際通貨として認められていないのは、1)兌換の自由、2)為替の自由、3)中央銀行の政府からの独立、がなされていない(p151)

・15年6月29日に北京の人民大会堂で、AIIBの設立協定署名式が挙行されたが、フィリピン、デンマーク、クウェート、マレーシア、ポーランド、南アフリカ、タイの7カ国が署名を見送った(p166)

・天津の爆発事故により、トヨタも4700台の車がペシャンコ、2週間の工場稼働停止、94億円(車分のみ)以上の損失(p178)

・現在のトップ7の顔ぶれを見ると、二位:李克強は胡錦濤、3,5,7位は江沢民、4位は半分江沢民派、習が信用できるのは、序列6位の王岐山のみ(p192)

・北戴河会議の特徴は、中国共産党の最高意思決定機関である党中央政治局常務委員(トップ7)に加えて、長老(過去の常務委員経験者)達も同等の発言権がある(p200)

・現在7つある軍管区は、東北・西北・東南・西南の4大軍管区に整備し直して、30万人を削減して200万人体制にする(p202)
・習氏が、次々に「小グループ」を作る理由は、常務委員会が信用できないから、採決したら否決されるので(p204)

・習氏の肝いりで、天津市は2015年4月に、上海市に続く自由う貿易試験区に指定された、ここが決定的な打撃を受けた。事故の起きた翌日の8月13-15日は、北京では軍事パレードの予行演習があり、天津の人民解放軍、武装警察、公安部、国家安全部の要因はほとんど北京に移動していた(p208)

・抗日戦争戦勝70周年記念軍事パレードは、費用は4300億円(2009の建国60周年の時は、120億円)であった(p210)

2016年1月3日作成

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 中国・中国語
感想投稿日 : 2016年1月3日
読了日 : 2016年1月3日
本棚登録日 : 2015年11月14日

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