ピーターの法則 創造的無能のすすめ

  • ダイヤモンド社 (2003年12月12日発売)
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この本はカナダ生まれの方の共著で、お二人とも1990年までにお亡くなりになっています。オリジナルが書かれたのは、昭和時代末期の頃と思われますが、日本語訳は2003年に出されている有名な本でタイトルだけは知っていました。

先日ある本を読んでいてこの本を知り、読書記録を見ようと思ったら、読んでいなくて慌てて近所の図書館に問い合わせしました。名著だけあって、図書館に在庫してあり早速読むことができ良かったです。

内容はいまにも通じるもので、私の受け取ったメッセージは「優秀な人は昇進する、どんどん昇進して無能なレベルになった地位で、留まることになる。従って、会社には無能な人ばかりが残ることになる」というものです。ある意味、恐ろしいほど当たっていますね。似たよな表現として「名選手(名担当者)、必ずしも名監督(名管理者)ならず」でしょうか。

この本は社会現象の分析だけではなく、ではどうすれば回避できるかを提案していて、それが「創造的無能」です。読めば読むほど、唸らされる内容でした。

現在の自分、過去に決断せずにだらだら過ごしてきた場合の自分、今決断しない状態が続いた場合の未来の自分等を顧みて、考えさせられた本でした。

以下は気になったポイントです。

・この本を読むメリットは、自分の無能を克服し、他の人の無能を理解することで、楽な気持で仕事ができるようになる(p16)

・有能さを発揮できていた地位から無能ぶりを露呈することになる地位へと昇進させられていた。これはあらゆる階級社会の、あらゆる人に起こり得る(p23、26)

・あらゆるポストは、職責を果たせない無能な人間によって占められる、そして、仕事は、まだ無能レベルに達していない者によって行われる(p27、28)

・無能レベルに達してしまった上司は、組織の自己都合という尺度で、部下が有能かどうかを判断する。つまり、無能な上司は、部下をインプットで評価する(p46)

・スーパー有能と、スーパー無能のどちらもが解雇の対象となる(p51)

・終点に到達したかどうかを見分ける方法として、何か有益な仕事を成し遂げつつあるかを見極めるのがポイント(p73)

・成功ほど悲惨な失敗は無い、つまり成功は無能レベルへの一里塚である。従って、創造的無能である、「成功しないことほど素晴らしいことはない」ということになる(p75)

・服従者としては申し分ない人物が、指導的地位に就いたばかりに、問題を起こす。1)指導力を発揮できない、2)部下の仕事効率を低下させる、3)上司の時間を浪費する(p78)

・従業員が有能かどうかを評価するのは、同じ階層内にいる上司。潜在的な指導力を持った部下とは、上司にしてみれば服従しない部下にほかならず、不服従とは無能を意味する(p82)

・階層社会は、職務を全うできず、これ以上の昇進も見込めない、しかしだからと言ってクビにもできない無能な労働者が溢れかえることになる(p90)

・身分境界線があるおかげで、多くの人々が無能レベルまで昇進することがないので、ピラミッドの下半分では効率のよい仕事が期待できる(p92)

・階層社会の効率を上げる唯一の効果的な方法は、上層部に新しい人材を登用すること。彼らが古株ではできなくなった仕事をしてくれるかもしれないから(p93、123)

・終点到達症候群に苦しむ人たちに効果があるのは、気晴らし療法である。何か仕事とは異なることを始める(p142)

・昇進を拒否するのではなく、昇進の話を持ち掛けられないように工夫することで、上のポストに昇るのを避ける、これば創造的無能と呼ばれるもの(p182)

・恐竜、トラ、翼竜、マンモスといった種は、それぞれが持っていた特質(巨体、翼、牙)のお蔭で繁栄した。初めのうちは彼らに昇進を約束したそれらの特質が、最後には彼らを無能へと導いた。有能さには無能の芽が潜んでいる(p191)

・卒業証書が証明するのは、その生徒が卒業までの年数を我慢して学校に通ったという事実のみ(p194)

・ピーターの特効薬は4種類ある、1)予防薬(昇進を回避):マイナス思考、創造的無能、2)痛み止め(無能レベルに達した人が、健康と幸福を維持する)、3)気休め薬(症状を抑える):実績をイメージで代用、4)処方薬(治療する)(p203、208)

2015年11月15日作成

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 社会・生活・労働
感想投稿日 : 2015年11月14日
読了日 : 2015年11月11日
本棚登録日 : 2015年11月9日

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