これからのお金持ちの教科書

著者 :
  • CCCメディアハウス (2015年11月27日発売)
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タイトルだけを見ると、お金持ちになるための小手先のテクニックが紹介されている本のように思ってしまいますが、中身を読むと、パラダイム転換が予想される、この十年間(具体的には2025年まで)、どのように過ごすべきかの心構えが書かれていると感じ取りました。

お金持ちになるためのヒントが、コラム形式で6つに纏めて書かれていますので、その部分だけ読んでも役に立つ内容だと思います。

この本も最近、私が気になっているキーワードである「資本主義の終焉、転換、新しい体制の出現」に引っかかった本でした。

以下は気になったポイントです。

・これまでの時代なら、どんなサービスも会社の体裁を整え、社会的な信用を得なければビジネスがスタートしなかった。楽天もライブドアも、ネットという新しいツールを活用したという点では新しかったが、生まれた時からIT環境が整っているデジタルネイティブを基準に考えれば、オールドエコノミーということになる(p14)

・2014年12月には、ニューヨー証券取引所に画期的なサービスを提供するベンチャー企業、レンディングクラブが上場した、銀行に代わって個人の融資を仲介する(p19)

・有益なツールが登場すると、たとえ、どんなに感情的に反発があっても、最終的には社会に浸透していく。このような時代にあっては、淘汰されていく事業にしがみつくのは非常にリスキーな行為である(p23)

・医師や弁護士の給料が高かった理由は、政府が人為的に市場メカニズムをコントロールし、供給を制限するとともに、価格競争が起きないように統制していたから(p25)

・新しいネットビジネス(民泊、ウーバー、アマゾンの配送代行等)は、貧しい時代を基準にした産業制度とは正反対の世界であり、新しいネットサービスがあらゆる産業のインフラとなり、政府による参入規制を次々に有名無実化するだろう(p29)

・大きなリスクをとらずだれでもビジネスができる時代がやってきた、これまでの時代との相違は、1)お金がほとんどかからない、2)体一つで参加可能、3)利用者はサービス提供者の運営形態をあまり気にしない、4)すぐに利益あげなくてよい(p41)

・一定数以上の利用者さえ集めていれば、お金にすること(マネタイズ)はあとから考えれば済む時代となった、このため多種多様なアイデアが事業として成立する可能性が出てきている(p43)

・新しい時代が従来と何が違うか、1)すべての人がデバイス(スマホ)を持つ、2)場所と時間の制約を受けない、3)あらゆるモノがネットにつながる、4)コンピュータが自分で考える能力を持つようになった(p50)

・多くのモノがシェアされる時代がやってくると、意外なことに、他人との密接なコミュニケーションを求める。対面のコミュニケーションに時間を割くようになる(p83)

・新しい資本の時代は、人々の思考回路そのものが変化するので、稼ぎ方のルールが変わる、どのようなビジネス、企業に投資すべきかという基準は、今とは様変わりする、稼げる人の定義、出世の条件も変わってくるに違いない、すでに存在する商品やサービスをいかに的確に組み合わせることができるかがポイント(p90、100)

・アメリカでは90年代から、多種のアウトソーシングが積極的に行われてきたが、日本では社内リソースの活用が続いてきた、アメリカが20年かけて徐々に進めてきた変化が、日本では一気に押し寄せる、これが「不連続的変化」である(p99)

・国内にある、Amadanaというデザイン家電を製造するメーカの製品は、すべて高いデザイン性を備えており、機能は最小限に絞られている(p103)

・人工知能とロボットの普及は、目立たない形で進む、単純作業が置き換わるのではなく、知識労働である。(p111)

・稼げる人材とは、1)多くのビジネスリソースをアレンジして新しい製品、サービスを再構築できる、2)仕事を自己完結できる、3)曖昧さを排除、論理的に仕事ができる、4)コスパの高いビジネスリソースを提供できる、5)人工知能を論理的に教育できる(p121)

・源泉徴収の対象となる給与所得者のうち年収1000万を超える人は全体の4%だが、その人たちが支払う所得税は全体の50%近くである(p133)

・世の中には富裕層と呼ばれる人がいるが、彼らの資産のほとんどは、フローを稼ぐのではなく、ストックの価値を上げるという考え方(p136)

・シェアリングエコノミーで資本が不要となる、資本主義の主役であり、市場の中で圧倒的なパワーを持っていた資本の持つ力が、相対的に低下する。これは、資本主義が登場してから初めての現象である(p149)

・GDPの中身は、人の労働と、お金の労働に分類される。対象となるのは、付加価値であり売上ではない、売上を合計すると、仕入れにかかった費用を何重にもカウントするので(p151)

・2013年のGDPは、約480兆円、所得は350兆円、労働者への対価支払い(雇用者報酬)は250兆円、資本に対して(営業余剰)は100兆円、資本総額(国富)は、約3000兆円なので、投資利回りは3.3%(p154)

・ウーバー、民泊が革命的なのは、1)資金調達というもっとも面倒な仕事に煩わされずにすむため、起業の効率が格段に向上する、2)経済全体として資本の役割が低下すること、これにより経済全体としてのお金の動きが大きく変わってくる可能性がある(p157)

・人にものを教えてお金を稼げる人がごく少数に限られていたのは、才能はあるが資金やコネといったビジネスリソースに恵まれていない人よりも、その逆の方が世に出やすかったから。ネットのインフラを使って、自身の持つノウハウをお金に換えるプチ起業家が、今後強くなる(p162)

・これまでは、資金・ネットワークにおいて、持つ者と持たざる者の格差が生じていたが、これからは、アイデア・知識、そして行動力について、持つ者と持たざる者の格差が生じるだろう(p163)

・最初にネットで情報を収集するときに、同じレベル感、同じ範囲の情報どうしを比較することができれば、適切に取捨選択できる(p182)

・コンサルタントが優秀というイメージがあるのは、情報収集のツボを押さえており、短期間で体系的な理解ができるから、粒度を揃える(収集した情報が、どの程度の難易度なのか、どの程度まで応用が利くのか)というテクニックを覚えるだけで、だれでもコンサルタントに変身できる(p184)

・他人が理解できる形で、特技の中身を再構成する技が必要となってくる(p218)

・発注者から継続的に仕事を受注するためには、発注・納品・請求といった事務処理を、しっかりと定型化しておくことが重要である、これは重要なポイント(p219)

・従来社会において、大企業のビジネスマン、フリーランス、企業家には、それぞれ異なった人物像が求められていたが、新しい資本の時代において、三者の人物像に大きな違いはなくなっている(p234)

・2025年までにお金持ちになるヒント、1)儲かるかどうかはあえて考えない、2)自分を知ってもらう技術を確立する、3)仕事とプライベートを分けない、4)講師業ができるようにする、5)情報は常に相手の目線で、6)マルチインカムで収入を増やす

2018年2月12日作成

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 資産運用・保全
感想投稿日 : 2018年2月12日
読了日 : 2018年2月12日
本棚登録日 : 2018年2月11日

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