すべてのマンションは廃墟になる (イースト新書)

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  • イースト・プレス (2019年2月10日発売)
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この三連休の中日の夕方、私の住んでいるマンションの街区で「夕涼会」があったので妻と参加しました。簡単な出店しか出ていませんでしたが、ビールとフランクフルトで私は十分に楽しめました。音楽はカセットテープレコーダーから、80年代の音楽が流れていて気持ちよかったです。

周りを見渡すと、小学生は少しいるものの、全体的には私達夫婦(50台)以上のカップルが多い気がしました。住みやすいマンションなので、引っ越す人も少ないのかもしれませんが、高齢化は確実に進んでいます。

私は今から20年程前にローンを組んで中古でしたが今住んでいるマンションを購入し、やっとローンを返し終わったところです。そんな私にとって、この本のタイトル「すべてのマンションは廃墟になる」は衝撃的で、読まずにはいられないと思いました。

以下は気になったポイントです。

・ノンリコースローンとは、一定の猶予期間を後に、抵当権を実行して担保にしている住宅の所有権を取得、借り手は自宅を失うが、それで返済は免れるもの(p37)

・日本人の新築好きの理由、1)新しいものは「清く」古いものは「穢れ」とされる、2)半世紀程前までは木造一戸建てに住んでいて、自然災害で被害をうけるため、安普請(p43)

・購入価格が家賃の30年分以上になるような場合は、賃貸にしておいたほうが良い(p54)

・借入額は余裕をもって決めるべき、限度ギリギリの年収7倍はもってのほか、せいぜい4-5倍が良い(p60)

・建築精度は長谷工が最も安定している、作るマンションが極めて画一的、単純な設計だから(p77)

・総会議事録は区分所有法のなかで、利害関係人の請求があったときは、正当な理由がある場合を除いて、規約の閲覧を拒んではならない(33条2)利害関係人とは、区分所有者はもちろん、購入検討者も含まれる(p80)

・マンションの価値は、9割が立地(最寄り駅からの徒歩分数)、間取りと面積、価格で決まる(p82)

・購入した時点で、購入者の意思にかかわらず決まっているもの、1)管理規約、2)管理会社、3)管理費・修繕積立金、4)長期修繕計画(p103)

・管理組合も優先順位の高いもの、1)資産価値保全のための業務(管理要員の仕事内容)、2)資産の適正活用と会計処理、3)長期視点にたったメンテナンス、につきる。上手に管理会社やコンサルタントを使う(p110,114)

・競売を申し立てる場合、申立人は個人か法人でなければならない、管理組合が法人化していない場合、理事長の名前で申し立てを行うことになる(p125)

・特別決議が必要な議案とは、1)管理規約の変更、2)共用部分の用途変更、3)管理組合の法人化(p146)

・管理組合が法人化になるメリットとは、区分所有者になれること。滞納が5年分に達した場合は、所有権が管理組合に移転する、という制度をつくれば、管理組合は自らの債権を証明するだけの簡単な裁判で競売したのと同じ状態にできる(p170,174)

・タワーマンションの上層階は、雨風が横殴りに吹き付けるので、シーリング剤の劣化が進むため、15年に一度くらいは劣化したシーリング剤を修繕しなければ、外部からの浸水を防げない(p101)

2019年7月19日

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 社会・生活・労働
感想投稿日 : 2019年7月15日
読了日 : 2019年7月20日
本棚登録日 : 2019年6月21日

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