小さな国の大きな奇跡~キューバ人が心豊かに暮らす理由~

  • WAVE出版 (2008年5月15日発売)
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この本を読むまでは私のキューバに関する知識は、アメリカのフロリダの近くに存在している共産主義の国で、最近、長年にわたって独裁者であったカストロ氏が亡くなったという程度でした。

ソ連が崩壊してからどのようになったのだろうと思いを馳せたこともありましたが、情報も少なく分からないことが多かったと思います。

この本を読むことで、キューバの人たちの暮らしが資本主義の観点から見ればけして豊かには見えないけれども、多くの国民が心豊かに過ごしているということが分かりました。多くのものに囲まれて毎日働き続ける我々と、彼らはどちらが幸せなのだろうかと考えさせられた本でした。

以下は気になったポイントです。

・キューバへは米国から直接入国不可で、メキシコやカナダを経由する必要があり、20時間程度かかる(p11)

・コロンブスによって発見された後、疫病や集団自殺により、30万人の先住民が絶滅した(p19)

・1月の儲けは2000円程度で、年金よりも良い(p23)

・キューバ人が日本食で興味を示すのは、ラーメン、お好み焼き、カレー、珈琲には砂糖を多く入れるが、砂糖を使った料理は好まれない(p29)

・キューバの配給の特徴は、一般の国民も有名人も、閣僚級の人たちも同じ条件で配給所に並ぶこと(p31)

・キューバには国民が使用する、ペソクバーノと、外国人用の兌換ペソがある(p32)

・15歳を迎えた成人は、喫煙も飲酒も認められるようになる(p49)

・キューバでは先進国に見られるような職業の貴賎や、地位による偏見もないので、自分のやりたい職業につく(p62)

・国民の選挙に関する関心、意識は高く、投票率は97%と高い(p73)

・革命によってできた新政権による財産の没収を恐れたキューバ人は、マイアミを中心に20万人が亡命した、フロリダ州の票はキューバ人の意向が影響する(p104)

・1991年12月31日、突如ソビエト連邦は崩壊した、それにより年間1200万トンあった石油の輸入がゼロになった、現在は400万トンでやりくりしている(p109、113)

・農産物の冷蔵、貯蔵コストを引き下げるのに農園を都市部(当時80%がコンクリートに覆われていた)へ集中させた(p129)

・キューバ人はもともと野菜は食べなかったが、ソ連崩壊により精肉等の配給が止まったため、野菜を食べるようになった(p158)

・中学までの義務教育以外にも、大学院まで教育費がゼロ(p154)

・キューバの医療体制は5段階に分けられる、ファイミリードクターから総合病院まで(p178)

2010/10/23作成

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 外国一般
感想投稿日 : 2011年9月16日
読了日 : 2010年10月23日
本棚登録日 : 2011年9月16日

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